【現役ビルメン解説】停電作業(年次点検)の事前準備と当日手順10選

停電打合せ

こんにちは、ビルメンゆうたです!

ビルメンにとっての一大イベントの一つが停電作業です。

いわゆる年次点検に該当するもので、月次点検では確認できない電気設備の機能試験や外観点検、測定を行うものです。

根拠法令は、電気事業法第39条(技術基準に適合)、第42条(保安規程の届出義務)あたりでしょうか。保安規程を読むと別表に点検基準があり、周期1年に該当する点検内容については、停電中でないと行えないものばかりです(ー△ー;)

停電作業は、ビルメンにとって一大イベントですが、お客様にとっても一大イベントです! ( -`ω-)

特に規模の大きいビルになると準備にも手間が多く発生するため、配慮する項目が多くなってきます。

今回はボクが常駐している施設を例に準備内容をご紹介します。ご参考までに!

準備① 停電日を決める

まずは停電日を決めないと始まりません。

調整先は、

・お客様(ビルオーナー)

・点検業者

・その他

お客様の都合に合わせるのが大前提です。ただし、漠然とした状態で伺っても選択肢が多すぎるため、ある程度の候補日はこちらから提示させていただきますm(_ _)m

ボクの場合は点検業者と大まかな日程調整→候補日を複数用意→お客様と調整→決定

という流れです。

その他として、リニューアル工事やテナント様独自の工事があります。ボクの勤務先は商業施設のため、リニューアル工事が別部隊主導で動いていたりします。別部署であるが故に情報共有不足でバッティングすると悲惨な事になるため、事前に情報共有はしっかりしておく必要があります。

また、入っているテナント様独自の工事もあるため、こちらはビルオーナーサイドから停電日を事前に周知していただきますm(_ _)m

準備② 関係各所へ周知

停電日が決まったら関係各所へ周知!

それなりの規模の商業施設のため、関係者が多数おります。

下記は一例です。

お客様、テナント様、設備(自社)、リニューアル部隊(自社)、警備(施設内)、清掃、警備会社(セコム等)、通信部門、通信キャリア(KDDI、docomo等)etc

準備①で事前に根回しをしっかりしておけば、関連部署やお客様に「この日はダメ!」という話はありません。

例えば宝飾品売り場であればセキュリティが入っていますので、事前連絡なしに停電させるとセコムがすっ飛んできます。悪かったでは済まされなく、出張費はしっかり請求されるため、お客様にご迷惑をおかけしますのでチェックリストを作って漏れなく連絡します。

また、施設内にサーバー室があるようなところだと、例えば売上等をサーバーに一時保存、特定の時間になったら外部サーバーに送信という仕組みになっている施設もあります。通信部門に送信時間を停電開始時間前となるよう設定してもらいます。

失念した事はありませんが、忘れると相当悲惨な事態が発生します((((;゚Д゚))))

準備③ 電力会社との打ち合わせ

ボクの施設では、受変電設備内の断路器・遮断器は電力会社の所有物となっています。

電力会社の所有物を勝手に操作する事はできませんので、事前に調整が必要です。具体的には作業停電連絡票といって、停電内容や停電範囲を明記した票をこちらで発行しまして電力会社へ提出致します。

停電は線路停止を伴う事もあるため、同じ線路内の需要家に「この日停電しても問題ありませんか?」と電力会社が調整してくれます。全需要家からOKをいただければ停電作業許可となります。

また、断路器・遮断器の入切操作は事前に電力会社と打合せした上、当日は指示をいただき、現場操作を実施していきます(ง •̀_•́)ง

規約上は1か月前までの連絡となっていますが、余裕を見て遅くとも2か月前には連絡をするようにしています。

準備④ ドライアイス手配

これに関しては管理物件と停電時間によりますが、商業施設の場合は冷蔵庫・冷凍庫が多数ありますので、商品被害とならないようにドライアイスを手配します。

テナントリニューアルによって、区画や冷蔵庫等の台数も毎年変わるため、お客様に必要量を計算していただき、必要数量を手配します。

準備⑤ ビルメンとの作業手順打合せ(当日)

準備⑤以降はすべて当日作業となります。

ボクの方で作業手順書を事前に作成しておりますので、手順書を基にその日の作業内容を作業者全員と打合せを行います。

皆さんベテランで手慣れた人もいますが、忘れや抜けといったヒューマンエラーは経験とは関係なく発生するため、必ず実施します。

手順書はチェックリストではなく、作業項目が終わった時間を記載してチェックとする方式をとっています。

こうする事で人の動きが分かりますし、後でトラブルがあった時の原因探しの類推に使えるからです。

準備⑥ 発電機回路への切り替え(当日)

停電させると受変電設備に設置している不足電圧継電器(27)が動作→発電機に停電信号→発電機自動運転

となります。

つまり、施設内の商用回路はすべて停電しますが、発電機回路は生きています。

点検作業場所(受変電室)、中央監視装置室(ビルメン常駐場所)、防災センター(防災の要)は照明確保が必要のため、事前に商用回路→発電機回路に切替ておきます。

切替方は設備によると思いますが、ダブルスローに商用系と非常系の配線を入れた状態で負荷をつないでおけば切替は簡単になります (^▽^) 

準備⑦ 各種機器の事前停止(当日)

停電前にパソコン、モデム、プリンター、カメラ等の機器をシャットダウンおよびスイッチ「切」とします。

壊れる原因は停電させるために遮断器を切った瞬間(入とした場合も)に開閉サージが発生し、一時的に通常より高い電圧が系統全体に及ぶためです。

準備②の段階でお客様およびテナントへの案内文を配布して、事前にシャットダウンをしてもらいます。シャットダウンだけでは安心とは言えないため、スイッチがある機器については「切」、ない機器に関してはコンセントプラグを抜くまでやってもらうのが理想です。

印象としては、モデム、カメラ、TVブースター、ACDCアダプターがよく壊れる印象です。

特に使用年数が進んだ機器はよく逝きます( ᜊ°-° )ᜊ 原因は内部の電解コンデンサの経年劣化だと思います。

準備⑧ 高架水槽満水(当日)

中規模以上の施設になると高架水槽から各所へ水を供給しているかと思います。

市水本管から水を施設内に引き込み、地下階に設置している受水槽で貯水した後、高架水槽へ揚水後に各所へ自由落下によって配水という具合です。

満水にする理由は、残留者用の水を確保するという事もありますが、ウチの場合は非常用発電機の冷却水確保のためです。

施設内の非常用発電機は放水冷却方式となっており、高温となった原動機内部に冷却水を常に流し冷却を行います。熱交換した冷却水はそのまま排水されるため、発電機が動くとかなりの量の水消費となります。

このため、高架水槽を満水にして冷却水を確保しています。

もちろん揚水ポンプは非常発電機回路内に含まれているため、満水にせずともポンプが稼働して揚水するため、冷却水量不足とはなりませんが、ポンプ故障、制御機器故障が不運にも起こった場合の保険として対応しています。

準備⑨ 機器の状態確認(当日)

停電前の機器の状態確認を行います。

遮断器、断路器といった開閉器の状態、操作切替スイッチの状態をチェックリストを使用して一つずつチェックしていきます。

基本的に停電前と復電後で使用状態が変わる事はないため、チェックリストを作り元の設備状態である事を確認するためです。

停電前と復電後、それぞれ確認します。

地味な作業ですが、やっている事は重要ですので、電気主任技術者が責任を持って確認すべき内容です(。-`ω´-)

準備⑩ 全館放送(当日)

防災センターから館内に全館放送します。
事前に周知しているとは言え、ここは商業施設です。社員の方以外にアルバイトさんもいます。全員に情報が行き渡っているとも限らないです。

仮に放送なしに停電して館内が暗くなるとパニックを起こし、人によってはどこかしらに通報するなんて事があるかもしれません(;´Д`)

また、階段を昇り下り中に急に暗くなり転倒して怪我をした・・なんていう事も考えられます。

停電するとエレベーターも一時的に使用不可となるため、中に人が居たら閉じ込めになってしまいます。

停電準備作業まとめ

以上、停電準備作業の内容でした!

これはあくまでボクの勤務している中規模施設(10階建程度)の場合です。小規模であれば、もっと簡易的であろうし、大規模であれば停電準備が1年前から始まるところもあろうかと思います。

今回紹介した内容もほんの一部であるため、書ききれない内容も多くあります。

ビルメン電気主任技術者の停電作業は調整がメインです。

点検については専門業者まかせのため、作業が円滑に進むように事前準備をしっかり行い、停電におけるトラブルゼロとなるようリスクをできるだけ排除するように努めております。

今回は商用回路停電の準備作業について紹介させていただきました。

機会がありましたら、今度は復電作業や年次点検の内容、非常系の停電作業についても記事を作りたいと思いますφ(・ω・。*)

それでは、ありがとうございました!

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