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こんにちは!ビルメンゆうたです。
今回はシャッター工事中にシリーズトリップが起きた事例を紹介したいと思います!
シリーズトリップとはSeries(直列)Trip(トリップ)と書くように直列接続されているブレーカーが同時にトリップする事を言います。主幹-子ブレーカーの構成なら、主幹と子ブレーカーが同時にトリップするといった具合です。
シャッター業者が工事で入った際に、配線を短絡させる事故を起こした事があります。シャッターは上部に大きい箱があり、中には開閉器が入っています。開閉器が回転する事でシャッターを上下する事ができますが、動力源は3相400Vモーターです。
業者さんが中を触ってる最中に配線を短絡させた為、シャッター内蔵ブレーカー(BH-K 30A)と送りブレーカー(NF-63CV 50A)が同時にトリップしました。
同僚ビルメンから「なぜ同時にトリップするのか?」と質問があったので、ブレーカーの時間特性が一致する短絡電流であったからと答えましたが、(・・? という顔をされていたので、グラフを用いて説明しました。

メーカー公表の特性曲線から数値を拾ってプロットしたのが上グラフです。飛び飛びで数値を拾っているのでカクカクしているのはそのためです^^;
特性曲線は最小~最大と幅があります。保護協調が満たされているかを確認したいため、グラフにプロットする数値は、上位ブレーカーのNF63-CV 50Aに関しては、最小動作曲線。下位ブレーカーのBH-K 30Aに関しては、最大動作曲線です。
下位ブレーカーの特性が最大方向にブレた(最大曲線)としても、上位ブレーカーの最小動作時間より早く動作すれば保護協調は満たされます。
このグラフから分かるのは1000A以上の電流においては、上位ブレーカーと下位ブレーカーの動作時間が同じという事です。(580A付近でも動作時間は一致しますが、今回は無視します)
つまり、今回の短絡事故時に少なくとも1000A以上の事故電流が流れたのだと、おおまかな事は分かります。
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ここでもう少し踏み込んで実際の事故電流を具体的に計算してみます。
短絡電流を計算するには%インピーダンス法を使用して計算するのが手っ取り早いです!電験三種、二種でも頻繁に出てくる計算法です。

シャッターボックスまでの系統は上図の通りです。ここで考慮するインピーダンスは変圧器、バスダクト、CVケーブルとしました。もちろん系統側にもインピーダンスはありますが、値としては小さいため除外しています。
変圧器の%Zは銘板記載の数値、バスダクトとCVケーブルはメーカー仕様書を見るとmΩ/mとかΩ/kmといった単位長さあたりの抵抗、リアクタンスは分かります。これらが分かれば、
$$ %Z=\frac{P×Z}{V^2}×100 \quad P:基準容量\quad V:基準電圧\quad Z:抵抗値またはリアクタンス $$この式から%Zは計算できます。
①変圧器 %Z1=j8.12
②バスダクト %Z2=3.1+j2.0
③CVケーブル %Z3=163
①~③のインピーダンス和は、
%Z=%Z1+%Z2+%Z3=166.1+j10.12
|%Z|=166.4
ここで基準容量3000kVA、基準電圧415Vを下記式に代入して定格電流を求めると、
$$In=\frac{P}{\sqrt3V}$$In=4174(A)
定格電流Inと短絡電流の関係式
$$Is=\frac{In}{%Z}×100$$これに上記で求めた%ZとInを代入すると、Is=2508(A)およそ2.5(kA)となります。
ここで求めた2.5kAは3相短絡時の値です。低圧事故においては、3相短絡よりは2相短絡の方が起こる確率は高いと思いますので、2相短絡電流Is’を求めます。
$$ Is’=Is×\frac{\sqrt3}{2}$$この関係式により、2相短絡電流Is’=2.18(kA)という事が分かります。
以上の計算により、
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今回起きたシャッター短絡事故においては、2.18kAの短絡電流が流れ上位ブレーカーと下位ブレーカーの動作時間が一致する電流値であったためにシリーズトリップが発生したものである。
と理論的な説明につなげる事ができました。
因みにブレーカーの仕様に定格遮断容量(kA)の記載(2.5kAや5.0kA等)がありますが、この値は短絡電流を超えるものを選定しなければなりません。基本的に電源側(トランス)に近いほどインピーダンスは小さくなり、遠いほどインピーダンスは大きくなりますので、どこでも一律ではありません。
また、ビル電気設備において、安易に住宅用コンパクトブレーカーなんかを取付ると遮断容量不足で事故時にトリップ不可となるだけでなく、火災リスクを伴うため遮断容量は確認された方が良いかと思います!
今回もここまでお読みいただきありがとうございました。では、またの機会に!



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